シニア世代の住まいについて思うこと

福祉住環境CDの資格も以前に得ていましたが、介護保険の理由書を書くだけの存在でしかないのか。。などと、戸惑い。
これから、シニア世代 プレシニア世代(40代後半)に向けて、住宅の考え方を織り込みながら
オーガナイズしていけたら いいなぁと漠然と考えています。
不動産販売の企業に10年余り勤めており、これまでにマガジンなどの編集も担当していました。
昨今の空き家・空地の問題、分譲住宅の売れ行きの不調を間近に感じ、住まいの在り方を改めて考えています。

今は賃貸住宅の活用について、もっと充実させることが大事ではないかと感じています。
資産(不動産)を持つことは、自身が老いたときに、その不動産を処分をすることは容易ではありません。

空き家が増えるのは、相続問題が関係しています。購入したファミリーマンション(4LDK等)から子どもたちが独立し、広い家に夫婦二人が住むケースが増えています。広いが故に、片付けが上手に出来ないこともあります。部屋数も多くなり、使わない部屋が納戸と化す状態も片付けを難しくしています。

高齢になり、家の中での行動範囲も狭くなり、使わない部屋が増えると同時に管理が行き届かなくこともあるでしょう。
そして、施設に入所あるいは入院などに至ると、家は空き家の状態になります。
その住宅が次の世代に継承され、新たな住人を迎えることは少なく、空き家となって放置されることが増えています。
相続の対象となるので、当人が亡くなるまでは財産の分与もされず、売却処分されるケースも少なく、空き家は増えるばかりです。

このような社会の背景を眺めながら、老いと住まいの関係性をどう考えるか。
そして、暮らしをオーガナイズするときに、住まいが大きく関わっていることにも気づかされます。

image_201604_5

シニア世代が住み替えを考えるタイミングがあります。
子供たちの独立と定年退職などもその機会ではないかと思われます。
生涯独身が多くなったとは言え、結婚をしなくても、家を出て独立する子世代が多いと思います。

これまでも、夫婦二人の暮らしを考え、コンパクトな生活にチェンジすることを希望する方々も多かった筈です。
経年劣化した家をリフォームすることと、新たな物件に住み替えること、その選択に悩む方々も少なくはないでしょう。

でも、そのタイミングにまた新たに不動産(資産)として持つことにリスクはないでしょうか。
自分たちの将来の健康は誰にもわかりません。元気なうちに出来ることをして充実させたい。その思いを大切に暮らします。住まいはその実現においては大事な土台です。
しかしながら、将来、大幅な売却損が出る可能性をはらむ資産を持つことで、充実した暮らしが送れるでしょうか。
現在、空き家が増えているのは、何故でしょう。住宅の流通が停滞していることも窺えないか、そういった観点でみることも大事です。

KC060_72A

住宅の形は、持家(戸建て・マンション)・賃貸住宅・社宅等
これまでの考え方であれば、持家を持つことで一人前の評価が得られたように思います。

一次取得者と言われる初めて家を購入する人たちの年齢層のニーズと、シニア世代がこれからの生涯その家を住み続ける生活環境には変化がある筈です。ライフオーガナイズも年齢によって、異なる暮らし方があることを見極めなくてはなりません。

シニア世代が迎えるステージに相応しい家(部屋)とは、どうあれば快適なのかを提案していきたいのです。

これまで住み慣れた家をリフォームする選択肢と売却して異なる家に暮らす選択肢、そして、それは購入するのか、借りるのか。そこで、考えなくてはならないのが前述した通り相続の問題です。
不動産の相続は難しさがあります。複数人で分与する場合、換金して分けられることが必要だと想像できます。
相続人の一人が不動産を相続し、評価額の額を等分して、不動産相続した者が他の相続人に対価を支払うケースもありますが、負担は大きいものと思われます。すでに住まいを持っていれば 、売却し、換金した上で、現金で分けることが望ましいでしょうが、その不動産の価値にも依りますから、経年劣化いしている家屋であれば、一戸建ての場合などでは更地にすることの方が費用が掛かるとの判断で、放置しておくケースも少なくないと耳にします。
本当に不動産の相続は難しさがあります。

尚のこと、こういった社会の時流を見た上で、シニア世代が不動産を持つことに、慎重になってもらいたいと思います。

13015600_10204587978097766_2002981295227145799_n

では、賃貸住宅がその代わりの役目を果たせるのか?

ここにも、問題はあります。

賃貸住宅の貸主サイドが賃貸借契約を敬遠するのが、高齢者や高齢者予備軍だと想像できます。
高齢になって、借りる部屋が無くなることへが懸念材料となり、無理をしてでも、購入を踏み切るケースも多いことは確かです。

買う・借りるの違いは置いておき、
分譲住宅と賃貸住宅の違いを考えましょう。

自分が住む家と人に貸す家と、建築費用が大きく異なります。
貸す家は、投資の対象であるため、利益を求めることが先行します。
一般的に、賃貸住宅は分譲住宅と違い、一時的な住まい、仮の住まい、短期間住むためのものと捉える傾向がありましたので、低価格での建築出来ることが優先されているのが実情でしょう。

分譲住宅を賃貸で貸し出すケースも増えて来ています。エリア的には供給過剰であること、または上質な賃貸住宅を望むユーザーが存在することも確かです。
生涯の住まいとして住宅費を計算し、購入をすることの方が経済的なのは、単純な計算で理解できます。
しかしながら、住み替えが必要となり、思ったタイミング・価格で売却ができない。または住み替えたいと思える物件が見つからない。売却損が出たり、仮に中古物件などをリフォームしようと計画しても、予想以上に費用がかさむなど予期せぬ出費が発生しがちです。それに加え、資産としての住宅には税金の負担も大きいです。

そして、その住まいはシニア世代の自身たちが本当に住みやすいものなのか。福祉的な観点から考えて、機能的な仕様も重要なポイントです。
資産としての住宅の捉え方だけでなく、健康で快適な機能的な住宅が、今は求められています。
耐震や断熱効果、経済的なことも重要です。

それを熟慮して、住まいを考えることが必要とされてきています。

HA178_L

シニア向けのマンション分譲がスムーズに進んでいないことを聞きました。
それはなぜか・・・そのコンセプトがこれからのシニア世代のニーズに合っていないこともあるのだと感じます。
「高齢者イコール介護」「介護や老いの準備のためのコンセプト」と言う考えではなく、
老いても健康で、自立して元気で安心で暮らせる住まい。

健康で、快適に暮らせる空間がどう言ったものなのかは、その一人ひとりが歩んだ人生によって違います。
人生の集大成も兼ねて、快適さを追求し、なおかつ次の世代に宿題を残さない暮らし方。ある筈です。

さまざまな課題を抱えながら暮らしていくシニア世代に向けて、人生さえもオーガナイズ出来る提案を考えていけたらと思っています。

若い世代も集いたくなる「オトナのいえ」そういうものをオーガナイズしていきたいと考えています。

 

これからも、レポートを配信しますので、よろしくお願いします。

ピックアップ記事

  1. 今年96歳の母は、サービス付き高齢者向け住宅に入居しているけれど、面会に行く度に「寂しい寂しい」と訴…
  2. 2023/7/20

    介護と言う形
    重たい荷物を背負うように、介護をしていた日々を振り返る。母の存在が重たくて、理想からかけ離れ…
  3. 高齢者住宅に入居している母の一時帰宅、コロナ禍で制約がある中、5ヶ月ぶりに自宅に帰ってきました。…
  4. 母と暮らすようになって、一年半が経過しました。同居当初は、母の言動に振り回され、このまま私は生き…
  5. 昨日のひな祭りの日、母の誕生日でした。御年 93歳になりました。誕生日祝いに、前倒し…
  6. 母と暮らし始めて、几帳面な母の暮らしに入り込むことの難しさを感じた数ヶ月。ところ…
  7. 4週に1度の健診。母に付き添うようになって、半年くらい。その間に介護認定や主治医とのやり取り…
  8. 限界だと思っても、さまざまな思いは器から溢れるけど、ちゃんと受け皿があって、こぼれた思いが溜まってい…
  9. 【包み込むように見守る】・・・限界が見え隠れ母の気分に振り回されて、少し疲れ気味のこ…
  10. 母との暮らしも10ヵ月近くになりました。振り返ってみると、同居からのこれまで、色…
PAGE TOP