【背中のボタンを留めて(人・ω・)】

階下に住む母が2階に暮らす私に用事があるときに呼び鈴代わりにあるナースコール
ボタンを押すとオルゴール的な音で知らせるものです。
今日は勤め先の休みの日なので1日在宅、朝からナースコールが鳴ります。

「腰が痛いので湿布薬を貼って」
「ジャムの瓶の蓋を開けて」
「着替えをしたから背中のボタンを留めて」

同居を始めた頃は階下から名前を呼ばれるけれど
聞こえないこともあり、母の苛々が募ったり、
階段途中まで上がってきて、私の名前を呼ぶと息切れを起こし、しんどいと嘆く。

なので、ナースコールを取り付けることにした。
・・・事あるごとに鳴ります(笑)

最初の頃は『何ごと??』と緊急的なことを想像して階下に降りたものだけど、
日常的な些細のヘルプだったりすることが殆どで、拍子抜けすること頻り(しきり)。

 

何故か、私はそんな些細なことでも、面倒臭いとは思わずに、素直に対応が出来る。
性格的なものもあるが、基本世話焼きなのかも知れない。

と言うか、そうやって小さな困ったことを私に託して解決していくことの方が、
私にとっても先行きハッピーなのだと思う。

同居を始めた最初の頃の母(当時91歳)は、
◆遠慮や気兼ねで思ったことを言えない。
◆こんなことを頼んだら面倒に思われる。
◆負担に思われて嫌になられたら困る。。
そんなことが重なって、ストレスが母を精神的に不健康にしていった。
⇒ 言いたいことも我慢してるのに気づいてもらいえない
⇒ 面倒に思われるのは嫌だから、努めて自分でする
⇒ 本心じゃないことも口にしたりして機嫌を伺うこともする

そして、不健康になったのは『あなた(わたしのことを指す)』のせいだ。に発展した。

 

知らない間に『悪者』になっていく私は、どうやったら『凡人』になれるのか悩んで迷って考えた。

【黒衣(くろご)】になることかな?

黒衣:歌舞伎や人形浄瑠璃で、観客からは見えないという約束事のもとに舞台上に現われ、後見として役者や人形遣いを助けたり、小道具を役者に渡したり舞台から下げたりする係。

なんでも、「はいはい」と母の言うことに対応していくうちに
『このまま、私は僕(しもべ)のように母に尽くす人生なのかしら?』などと落ち込むときもあった。
それに加えて、周りからは『なんでも聞いてやるから、いいように使われている』
『年寄りは自分より弱い者に横柄になる、まさにそうなってる』
『同情した言い方をしないで、突っぱねれば、甘えてこなくなる』

みんな・・・どうして・・・そんなに冷たいの?って、
正直 寂しい気持ちにぶちのめされた気分も相まって、途方に暮れること、数日。。

自分の気持ちに向き合うことを何日も続けて、
どうやっていることがハッピーなのかを自分の中で反芻(はんすう)する

 

【母の笑顔があれば、いい。】 そういう結論。

そんな自分の意志に添うように暮らしていくと、
◎母の思ったような暮らし方、
◎母の生活リズムを壊さない寄り添い方、
◎優しい話し方、
◎否定しないこと、
◎がっかりした顔をしないこと。

作り笑顔をせずに、【わたしも楽しい】【わたしも助かる】そういう暮らしを探し始めた。

 

母が思っていることを私が理解して受け止めることが大事

⇒ 言いたいことも我慢してるのに気づいてもらいえない
⇒ 面倒に思われるのは嫌だから、努めて自分でする
⇒ 本心じゃないことも口にしたりして機嫌を伺うこともする
 ⇒⇒ 何を考え、どうして欲しいのかを聞き出す対話の時間を作る
 ⇒⇒⇒ 具体的に 肩たたきやマッサージをすることにした
 ⇒⇒⇒⇒ リラックスした時間を作ることで本音が聞けた

 ⇒【密着する時間が安らぎをもたらす】

ナースコールの鳴り音に『ビクン』としていたけれど、
この頃やっと、「なぁ~に?」と緩々と受答えができる私になったように思う。
【背中のボタンを留めて(人・ω・)】

自分で出来ないことを私に託すことを 何の躊躇いも出来ることが
母にとっても、私にとっても、幸せなことだと思う。

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